低コスト汎用コンピュータ基板を使おう
●自分で作れば手間はかかりますが、部品代だけで安く作ることができます。しかし、それには、(a)計測したり制御するコンピュータ本体と、(b)そのコンピュータで計測制御とUECS対応の通信をするソフトウェアを用意する必要があります。この敷居をできるだけ低くすれば、それに比例して、より多くの人が低コストで将来の拡張性のあるオープン規格の環境制御システムの導入に着手することができるようになるわけです。
●(a)に関しては、興味ある小中学生なら夏休みの宿題程度のレベルで使える低コスト汎用コンピュータ基板が出てきました。1枚の値段が4,500円から1万円くらいです。これをUECSに使ってしまおうということです。そして、(b)に関しては、基本的な動作が可能なライブラリ(ミドルウェア)を使ってしまえば、ソフトウェア製作がかなり簡単になります。
●本プロジェクトで注目している低コスト汎用コンピュータ基板として、まず、イタリア製のARDUINO(アルドゥイーノ)があります。これのArduino EthernetとArduino Mega 2560 + Arduino Eternet Shieldという2種の基板の使用を検討しています。もう一つが、イギリス製のRaspberry Pi(ラズベリーパイ)のRaspberry Pi type B または type B+という基板の使用を検討しています。これらのUECS用ライブラリも開発・提供が開始されています。
●Atmel AVRシリーズのコンピュータチップを使った基板です。性能はあまり高くありませんが、温室の分散的計測制御の各ユニット(ノード)用としてはほぼ使えると思います。UECSはEthernetによるネットワーク通信が必要ですので、その通信端子が備えられた基板か、シールド(Shield)と呼ばれる拡張基板であるEthernet Shieldを装着した基板を使用します。また、専用のパソコンを使用したプログラム開発環境(開発用ソフトウェア)であるArduino IDEが無償で提供されており、C言語風のスケッチと呼ばれるプログラミング言語で開発を行います。本プロジェクトで、このArduinoを使用したUECS用ライブラリ(ミドルウェア)である、UECSノード開発用ミドルウェア(UARDECS・ユアルデックス)を開発中です。また、温室環境制御用のシールド、低コストArduinoUECS気象計測ノード製作キットなどの開発や頒布も企画中です。
▲低コストUECS気象計測ノードを作ってみよう
▲UECSノード開発用ミドルウェア(UARDECS)
●ARMアーキテクチャーのコンピュータチップを使った基板です。USBインターフェース、ビデオ出力(HDMI)、オーディオ出力などの豊富なインターフェースを備え、スピードは遅いながら、マウス、キーボード、ディスプレイを接続すると、パソコンとして機能します。type Bと呼ばれるモデルは、Ethernetを備えていますので、UECS対応のシステムを容易に構築できます。DebianなどのLinux系の基本ソフトウェア(OS)をSDメモリーカードにセットアップして使います。ビデオカメラや入出力端子も備えていますので、スマート温室構築実験には便利に使えます。UECSの活用では、株式会社ワビットが精力的に開発を行っていて、UECS Piと呼ばれるUECS用計測制御のプラットホームの基本モデルソフトウェアが無償提供されています。
▲株式会社ワビット開発UECS Pi